「雨ニモマケズ」を生きる医師

編集部・岩崎から、「雨ニモマケズ」特集の取材秘話をお届けします。

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宮沢賢治の取材で訪れた岩手県大槌町は、
先の東日本大震災で被害が大きかった地域のひとつです。
あれから3年近くたつのに、
いまだに仮設住宅での生活を強いられているかたがたが多数います。
そこにある県立病院の宮村通典医師は、
下がり眉で九州弁を話し、
患者が心を開きやすい雰囲気をただよわせていました。
日蓮宗の僧侶でもある宮村医師は、奥様と長崎から移住し、
心療内科の医師として住民の診察にあたっています。

“賢治さん”が大好きで、毎朝、読経の後、
雨ニモマケズ」を声に出して読むそうです。

慈悲に満ち溢れた宮村医師への取材は、私にとっては至福のひとときでした。

帰り際、診療所に掛けてある「雨ニモマケズ」の額を見ながら、
「これはどなたが書いたのですか?」と尋ねると、
「私のことを新聞で知ったかただと思うのですが、贈ってくれました。

しかし、名前や住所はなく、ただ、『春うらら』だけありました」
宮村医師は、連絡を取って一言お礼を述べたいそうです。
(岩崎)
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