幸せを呼ぶ「ブッダの言葉」

おかげさまで、ゆほびか6月号が大好評です。ありがとうございます!


感謝をこめて、アンケートで一番人気の特集「ブッダの祈りの言葉」CDから、ザチョジェ・リンポチェ師(チベット仏教の高僧。ブッダ十大弟子の一人の生まれ変わり。ダライラマ法王の高弟)と、作家・本田健さんの対談の一部をお届けいたします。

「与えられた宿命と運命をどう生きるか」

本田健(以下、本田)16歳でダライ・ラマ法王の手紙を受け取ってから、リンポチェ様の人生は激変しました。それは、まさに宿命だったとも言えると思うのですが、手紙が届いたときは、とても戸惑われたのではないでしょうか?

ザチョジェ・リンポチェ(以下、リンポチェ)手紙が届くまで、私は普通の高校生でした。お坊さんになりたいと思ったことは一度もありません。しかし、祖母はいつも「お坊さんになれ」と繰り返し言っていました。私はそれがイヤで、最後には「もうそんなことは言わないでほしい」と頼んだほどです。
 それが、突然届いた一通の手紙によって、私は僧侶になったわけです。
 手紙が届いた日、私が座るための高座が用意され、その日から父や友人、年上の僧たちが敬語で話しかけるようになりました。たいへん戸惑いました。

本田 もともと決まっていた運命かもしれないとはいえ、当時のリンポチェ様には、将来やりたいと思っていた職業もあったはずです。

リンポチェ 私は16歳になるまで、教師になりたいと思っていました。自分の運命を受け入れたときに、その夢はあきらめたのですが、今こうやって、皆さんに仏の教えを伝えています。表面的な形は変わりましたが、けっきょく教師に似た仕事をすることになりました。
運命とはおもしろく、また変わっているものです。

能力や才能だけでは人生は決まらない

本田 なりたかった職業に就くことができない人は、たくさんいます。それは、運命として決まっていたと、とらえたほうがよいとお考えですか?

リンポチェ 仏教にはカルマ(業)という考え方があります。前世の行いによって、この人生の運命が決まると考えるのです。
 カルマによって作家になる“種”、いわば能力や才能を持って生まれた人がいたとします。しかし能力や才能だけで人生が決まるかといえば、そうではありません。
 実際に作家になれるのは、種に気づいて、水を与えた人です。どんな種を持って生まれても、種に水をやらなければ、花開くことはないのです。
 生まれ持った能力や才能が50%だとしたら、自分の努力で100%にする必要があります。
 ですから、運命は決まっているとも言えますが、その一方で、決まっていないとも言えるでしょう。

本田 自分の持っている種に気づいて、育てれば、花を咲かせることができるのですね。
まだ自分の能力がわからない人や、好きなこと、やりたい仕事が具体的に決まっていない人は、どうすればいいでしょう?

リンポチェ 2つの考え方があります。1つは、スキルや学歴、収入、勤務条件などから判断し、論理的に考える方法です。
 もう1つは「この仕事をやりたい」という、湧き上がってくる情熱で決める方法です。
 後者の場合は、注意が必要です。「やりたい」という思いがあっても、それは、心の底から湧き上がってきた純粋な情熱とは、違うことが多いからです。
 例えば、歌手や画家などになりたい場合、周りに影響されたり、成功している他の人を見て、「あんなふうになりたい」「かっこいいな」と、頭で考えたりしているだけの場合も多いです。
 表面的な華やかさだけに憧れている場合は、ほんとうの情熱ではないと考えた方がいいでしょう。

本田 確かに、自分の情熱を見極めることはたいせつだと思います。
では、今の仕事に対して不満があるかたへ、アドバイスをいただけますか?

リンポチェ 仕事を変えられるのであれば、そうするといいでしょう。変えられないのであれば、「今やっていること」にエネルギーを注ぐことです。
 「あなたが愛していることをやりなさい。あなたがやっていることを愛しなさい」ということわざがあります。
 今の仕事が嫌いだとしても、まだその仕事のほんとうの意味やよさに、気づいていないだけかもしれません。
 今の自分と、自分がしていることを見くびらず、この瞬間を積極的に生きていくと、道は開けていくはずです。(以下略)
(最新号から編集)

ブッダの祈りの言葉」特集では、84000ある仏教の教えの中から、「幸せのエッセンス」を紹介。CDでは、悩み・苦しみを退け、悟りへと近づく真言を、歌うように唱えた貴重な音源を収録しています。
ぜひお手に取ってみてくださいね。

最新号の詳細はこちら
http://goo.gl/3jEfO5

今日もすてきな夕べをお過ごしください。